物理学プレプリント理論1分で読めます

量子流体の中でダムが決壊する

ボース=アインシュタイン凝縮体とは、絶対零度にきわめて近い温度まで冷やされ、原子が一つの量子的な波としてふるまう気体のことだ。完全流体のように摩擦なしに流れるが、一つだけ余分な要素がある。量子圧力だ。これは原子が避けられない揺らぎをもつことから生じ、長さの異なる波を異なる速さで伝わらせる。物理学者はこうした波を分散性の波と呼ぶ。

カナダのマクマスター大学のL・M・ファレル(L. M. Farrell)、D・H・J・オデル(D. H. J. O’Dell)らは、ハイデルベルクとボストンの共著者とともに、このような流体で起こせる最も単純で激しい出来事を研究した。ダムの決壊である。原子を長く細い列に閉じ込め、仕切りで密度の高い領域と低い領域を分けておき、仕切りを突然取り除く。彼らのシミュレーションは現実的な数値を使っている。4万個のカリウム39原子で、その中を音は秒速約1.8ミリメートルで伝わる。

量子の潮津波

密度の段差が小さい場合(約4%)、2つのさざ波の列がダムのあった場所から左右に一つずつ出ていく。その間には平らな台地ができ、その密度はちょうど両側の中間になる。

チームは、これらのさざ波が、ときどき川を遡る**波状段波(潮津波)**に似ていることに気づいた。先頭の前線の後に波の列が続くものだ。物理学者マイケル・ベリー(Michael Berry)が考案した川の段波の単純なモデルを応用して、彼らは密度と流れを表す式を導き、それが凝縮体の完全な数値シミュレーションとほぼ正確に一致することを示した。

2つの特徴が際立っている。

  • さざ波は時空の中で円錐をなすが、それは裏返しの円錐だ。内側はすべて静かで、波はすべて外側にある。
  • 長い時間がたつと、その形は普遍的なもの、すなわちエアリー関数の積分になり、波長は**(ℏ²t)^(1/3)**でしか増えない。これは拡散よりも遅く、古典極限では消えてしまう。高さは一定のままだ。

ダム決壊後の原子密度の時空マップ。内側が静かで外側にさざ波がある円錐をなしている。

最初の20ミリ秒間の密度。2つの波面(内側の破線)が内部に波のない円錐を開き、うねりはその外側を先へと突き進む。— 図2、Farrell et al. (2026), arXiv:2609.32232.

音でできた二重の虹

エアリー関数には有名な起源がある。G・B・エアリーは虹を記述するためにこの関数を考案した。これは偶然ではない。さざ波の背後にある「光線」をたどることで、著者らは、各波面が折り目型コースティクス、つまり2本の光線が合流する場所であることを示す。太陽の光を約42度の位置に集めて虹をつくるのと同じ構造である。

背中合わせになった2つの波面は、二重の虹の光線パターン全体を再現する。空では、主虹と副虹の間の領域が暗く見える。論文によれば、紀元200年ごろにこれを論じたアフロディシアスのアレクサンドロスにちなんで、アレクサンダーの暗帯と呼ばれている。凝縮体の中でこれに対応する領域が台地であり、そこでは音波がまったく伝わらない。著者らはこれを**「静寂帯」**と呼んでいる。虹の色がときどき繰り返されるかすかな弧は過剰虹と呼ばれ、量子的なさざ波に対応する。空の場合と違って、静寂帯は時間とともに音速の2倍の速さで広がっていく。

中央の静寂帯の周りで曲がる光線の図と、二重の虹の写真が並び、その下にさざ波の形が示されている。

上:ダム決壊の波の光線(左)は、二重の虹とその暗い帯(右)と同じ構造をもつ。下:小さな密度段差と大きな密度段差の場合のさざ波。— 図9、Farrell et al. (2026), arXiv:2609.32232.

音にとっての地平線

密度差が大きくなると、密度の高い側からの流れが局所的な音速より速くなりうる。すると音波はもう上流へ伝わることができない。流体は音響的地平線を形成する。ブラックホールの縁を実験室で再現した類似物だ。量子圧力を無視する近似では、これは密度差が高い方の密度の8/9に達したときに起こる。この地平線は固定されてはいない。ブラックホールの表面重力に相当するその強さは、時間とともに弱まっていく。完全なシミュレーションでは、地平線は量子効果として約0.5ミリ秒の短い遅れの後に現れ、その後もとのダムの近くに落ち着く。密度差がちょうど臨界値のときには、ある領域全体にわたって広がった地平線ができる。これに対して川の段波は、むしろ時間を反転させたもの、つまり「ホワイトホール」に近いふるまいをする。

さざ波を見えるようにする

著者らの知る限り、こうした分散性の波は、自由に膨張する凝縮体ではまだ観測されていない。小さなさざ波はノイズの上に見分けるのが難しいのだ。彼らは2つの戦略を提案している。決壊の前に原子間の相互作用を強めておき、ダムが開く瞬間に突然弱める。シミュレーションでは、これによって上流側のさざ波が増幅される。あるいはダムをまったく使わず、箱型のトラップの中で凝縮体全体を動かす。そうすれば、その端が同じ種類の波を送り出す。この論文は理論的な道しるべであり、冷却原子の実験室が試してくれるのを待っている。

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